徒手筋力検査を最初にやる理由
たった一つだけしか検査を選べないとすれば、私ならMMTを選ぶ。
理学療法士学生時代に学んだMMTは、ダニエルのMMTだ。
これは主にポリオの評価として1940年代に発展した。
特徴としては、関節の動きをまとめて、筋群として診ていく。
ダニエルのMMTの結果は、実際の筋が生み出す力を示す。したがってその結果に対しては、力を鍛えるテクニックが必要となる。
評価の表現は、基本6段階で行う。
筋力がまったくない0から、正常を表す5まである。
1は筋収縮が見られる。
2は重力を除いた状況で、全可動域を動かせる。
3は全可動域を重力に抗して動かすことが出来る
4は抵抗を加えて全可動域を動かすことが出来る
5は強い抵抗に抗して全可動域を動かすことが出来る
ダニエルの筋力テストは、第6版で大きな変化があった。
それは抵抗を加える方法だ。
それまでは関節の動く範囲を徒手抵抗を加えて行っていた。つまり求心性収縮が行われていた。
第6版からはブレークテストというものに変わった。
これは特定の肢位から検者が抵抗を加え、被検者はその肢位を維持する。力に負けてその肢位からブレークすると弱いと判定する。
これは大きな変化だが、この先の深い使い方は、まだ理学療法士の世界では知られていない。それは後ほどシェアするとして…
もう1つの筋力テストの雄は、ケンダルの筋力テストだ。
これはダニエルが筋群としてテストするのに対して、個別の筋をテストする。
だから細かくて、覚えなければならない量も多い。しかし絶対に知っておいた方が良い。
さて、先程途中となったブレークテストのその先にある、より深い応用編だが、一部のカイロプラクターは行っている。
カイロプラクティックの応用テクニックである、アプライドキネシオロジーの筋力テストを使うセラピストだ。
従来の筋力テストが病理的・器質的な問題を検査するのに対して、応用編は神経機能の異常を検査する。
ここで筋紡錘の説明を入れておく。
核袋線維は筋長の変化の割合または筋紡錘のストレッチの速度に対する感受性が高い。つまり動的反応に関与する。
核鎖線維は筋の長さそのものに反応し、筋長の変化による反応は比較的低く、特に急激な筋長の変化への感受性は低い。つまり静的反応に関与する。
この筋紡錘への神経支配が筋力テストにどのように関与するのか、具体的に説明すると、「合図をしてテストをする」場合と「合図をしないでテストする」場合で分けることが出来る。
「合図」というのは力を入れるタイミングを「合図」することで、「せーの、はい!」というようにタイミングを分かりやすく知らせることである。
合図をしてテストすると、筋収縮は求心性収縮から始まり、次に等尺性収縮となる。
合図をしないでテストすると、遠心性収縮から等尺性収縮となる。ブレークすると等尺性収縮を起こせず、そのまま遠心性収縮で負けてしまう。
つまり合図をして行うテストは、核鎖線維が関与して、静的反応つまりγ2運動ニューロンを検査している。
一方合図をしないテストは、核袋線維が関与して、動的反応つまりγ1運動ニューロンを検査している。
これらの徒手筋力テストに加えて、白筋、赤筋などの機能も徒手筋力テストで診ることができるとめちゃくちゃ幅が広がる。
しかし、実は筋力テストの結果に、不定性をもたらす要因があまりにも多い。
目の位置、首の位置、脱水、低血糖、直前に食べたもの、電磁波(WiFiや時には蛍光灯さえ)、感情の状態などさまざまな事が筋力テストに影響する。
だから筋力テストは不適切なテストとして、やらなくなるセラピストもいる。事実キャリック神経学の主催者の天才Dr.キャリックは筋力テストをしない。
俺はダニエル、ケンダル、アプライドキネシオロジーからダウジングまで、使い分けている。結果に不定性をもたらす要因を見極めて、逆にそれを武器にする。スイッチングなどの知識もあった方が良い。
余談だが、キネシオロジー検査とダウジングは実はとても似ている。
しかしダウジングの方が、俺は洗練していてより高度でさらに安全だと思っている。
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